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船負担の軽減に非常に有効であることがわかった。
更に、操船者のアンケートによる主観的な評価からも自動運航システムが船舶航行支援として非常に有効であることが判った。
(3)総合評価
操船シミュレータを用いた自動運航システム評価実験について、操船結果から総合評価したものを以下に示す。総合評価の観点から、全体を把握しやすくするために、評価結果は以下の記号により整理している。
表5.7.1に自動運航システムの支援効果について評価項目、評価指標毎にまとめた結果を示す。表5.7.1の各記号の意味は以下のとおりである。
◎:IBS船が在来船より非常に有効である場合を示す。
IBS船の値が在来船の値の2割を超えて各評価項目について優位にある場合
○:IBS船が在来船より有効である場合を示す。
IBS船と在来船との値の差が在来船の値の2割以内で、IBS船の値が在来船より各評価項目について優位にある場合:IBS船が在来船と同等である場合を示す。

IBS船と在来船との値の差が在来船の値の2割以内で、IBS船の値が在来船より各評価項目について優位でない場合、あるいはIBS船と在来船との値の差がわずかに在来船の値の2割を超えていて、その理由が明らかでない場合
×:IBS船が在来船の値を下回る場合を示す。
IBS船と在来船との値の差が在来船の値の2割を超えて各評価項目についてIBS船の値が優位でなく、その理由が自動運航システムのパラメータを適切な値に調整することや若干のアルゴリズムの変更により改善されると考えられる場合。
以上の判定から、自動運航システムの安全性及び効率性に対する効果は在来船とほぼ同等の操船状況を実現でき、在来船と同程度の安全性及び効率性を維持していることを確認することができた。一方、操船負担についてはIBS船は非常に有効であることがわかった。在来船の操船結果はベテランの船長が操船した結果として得られた内容であり、そこで実現している値は安全面、効率面におけるシステム開発の目標値でもある。従って、開発してシステムを使用することにより、同様な状況が得られたことはシステムの有用性を確認できたことになる。現実の操船において、ヒューマンエラーによる海難事故の原因の多くが過大な操船負担にあることを考慮すると、システムの支援により操船負担が大きく改善していることから一層の安全性が確保されると考えられる。IBS船の評価が在来船に比較し下回る結果となった評価指標もあるが、前項で示した自動運航システムに不足している機能を付加し適切な調整を行うことにより、在来船と同等あるいは在来船以上の安全性及び効率性を確保できると考えられる。
このように自動運航システムの有効性を安全性、効率性、操船負担の3点から評価した場合、総合的に見れば自動運航システムによる操船の援助を受けることによって在来船と同等の安全性及び効率性を維持しながら、操船負担の軽減に非常に有効であることがわかった。
更に、操船者の主観的な評価からも自動運航システムが船舶航行支援として非常に有効であることがわかった。

 

 

 

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